この本の各章で参照した本・論文・Webの資料のうち、さらに学びたい人に薦められるものを集めました。各項目のリンクは tools/check_refs.py で実際に取得できることを確認しています(2026年10月24日)。難易度は「入門=予備知識なし」「中級=大学教養程度」「上級=専門書・原論文」の目安です。
本
Small Is Beautiful: A Study of Economics As If People Mattered
「中間技術」の考え方で、地域の人が扱える規模の技術を勧めた古典。限られた資源で暮らしを立て直す設計思想を学べる。
To Engineer Is Human: The Role of Failure in Successful Design
橋や建物の失敗事例から、設計は失敗を通じて進歩すると説く。失敗から学ぶ姿勢をAIと共有するための基本図書。
関連する章: 7
『Small Is Beautiful』の日本語訳(講談社学術文庫)。適正技術の原点を日本語で読める。
関連する章: 6
使いにくい道具は使う人ではなく設計が悪いと説いた本。疲れた生存者が迷わず使えるAIの画面を考えるのに役立つ。
関連する章: 12
Where There Is No Doctor: A Village Health Care Handbook
医師がいない地域で住民が使うために書かれた保健の手引き。専門家がいない状況で知識をどう届けるかの手本になる。
Collapse: How Societies Choose to Fail or Succeed
環境破壊や社会の選択が文明の存続を分けた事例を比べた本。崩壊を避けるための意思決定を考える教材になる。
関連する章: 14
『Collapse』の日本語訳(草思社)。上下巻で、2012年に草思社文庫版も出ている。
関連する章: 14
The Toaster Project: Or a Heroic Attempt to Build a Simple Electric Appliance from Scratch
鉱石からトースターを一人で作ろうとした記録。単純な製品でも、膨大な分業と供給網に頼っていることを体感できる。
The Knowledge: How to Rebuild Our World from Scratch
文明が失われた後、何から再建すべきかを農業・化学・医療・動力の順に解説した本。本書の問題設定にいちばん近い一冊。
『The Knowledge』の日本語訳(河出書房新社)。日本語で読める再建技術の入門書として、まず手に取りたい。
『The Toaster Project』の日本語版(新潮文庫)。気軽に読めるうえに、依存ネットワークという本書の核心を伝えてくれる。
関連する章: 2
スフィアハンドブック:人道憲章と人道支援における最低基準(2018年版 日本語版)
災害時の水・衛生・食料・避難所・保健の最低基準をまとめた国際的な手引きの日本語版。「1人1日最低15リットル」など、最初の72時間の判断基準になる。
『To Engineer Is Human』の日本語版(パンローリング、鹿島出版会1988年刊の新装版)。日本語で失敗学の古典に触れられる。
関連する章: 7
Normal Accidents: Living with High-Risk Technologies
複雑で密に結合したシステムでは事故が「正常」に起こると論じた古典。連鎖故障と、それを前提にした設計を考えるのに欠かせない。
Mind Children: The Future of Robot and Human Intelligence
ロボットと知能の未来を論じ、人間に簡単なことほど機械には難しいという洞察でも知られる本。ロボットに何を任せるかを考える背景になる。
関連する章: 13
The Nature of Technology: What It Is and How It Evolves
技術は既存の技術の組み合わせから生まれると論じる。技術ツリーと依存関係を考えるための理論的な柱になる。
『The Nature of Technology』の日本語訳(みすず書房)。技術の組み合わせ進化を日本語でじっくり読める。
関連する章: 5
人類の強みは個人の知能ではなく、集団で蓄える文化的知識にあると論じる。文明とは何か、知識をどう伝えるかを考える土台になる。
The Collapse of Complex Societies
複雑さへの投資の見返りが小さくなることが社会崩壊の原因だと論じた古典。再建した文明がまた崩れないための視点をくれる。
Guidelines for drinking-water quality: fourth edition incorporating the first and second addenda
飲料水の安全性について、WHOが科学的根拠とともに示した基準書。煮沸や消毒の判断を裏づける原典になる。
関連する章: 4
論文
自動化が進むほど人間の技能が衰え、まれな非常時の対応がかえって難しくなると指摘した古典(Automatica 19(6))。人とAIの役割分担を考える出発点。
関連する章: 12
The 2 Sigma Problem: The Search for Methods of Group Instruction as Effective as One-to-One Tutoring
一対一の個別指導で、平均的な生徒が集団授業の上位2%相当まで伸びたと報告した論文(Educational Researcher 13(6))。AI家庭教師の可能性を語るときに必ず出てくる。
関連する章: 11
Topological sorting of large networks
依存関係のある作業を矛盾なく並べるカーンのアルゴリズムの原論文(Communications of the ACM 5(11): 558–562)。リンク先のWikipedia記事に解説と書誌がある。計画エンジンの最も基本的な部品。
関連する章: 9
学習する人口が小さくなると複雑な技能が失われていくことを、タスマニアの事例とモデルで示した論文。知識の伝承が人数に左右されることを教えてくれる。
Retrieval-Augmented Generation for Knowledge-Intensive NLP Tasks
検索した文書を根拠に回答を生成するRAGを提案した原論文。オフラインの知識庫とAIを結びつける中心技術。
関連する章: 10
Robot Operating System 2: Design, Architecture, and Uses In The Wild
ROS 2の設計思想と実際の使われ方をまとめた論文(Science Robotics掲載)。ロボットのソフト基盤を理解するのに適している。
関連する章: 13
Why Language Models Hallucinate
学習と評価のしかたが「わからない」より「当てずっぽう」を得させてしまう、という観点から幻覚の原因を論じる。第8章の議論の背景にある。
関連する章: 8
大きな目標を小さな作業へ分解していく階層型タスクネットワーク(HTN)プランナーの代表例(JAIR 20巻)。人が理解しやすい計画を作る手法として参考になる。
関連する章: 9
The Fast Downward Planning System
PDDLで書かれた計画問題を解く代表的なプランナーの論文(JAIR 26巻)。古典的プランニングの実装を学ぶ入口になる。
関連する章: 9
Catastrophic cascade of failures in interdependent networks
電力網と通信網のように互いに依存するネットワークでは、小さな故障が連鎖して全体が崩れやすいことを示した論文。インフラ崩壊を数理モデルで考える出発点になる。
On Calibration of Modern Neural Networks
ニューラルネットの「自信」と実際の正答率がずれることを示した論文。AIの確信度を鵜呑みにしてはいけない理由を学べる。
関連する章: 8
Dense Passage Retrieval for Open-Domain Question Answering
文章をベクトルにして意味の近さで検索する密ベクトル検索(DPR)の論文。RAGの検索部分を理解するのに必要。
関連する章: 10
GPTQ: Accurate Post-Training Quantization for Generative Pre-trained Transformers
学習済みモデルを3〜4ビットまで圧縮する事後量子化手法。省電力の機器に大きなモデルを載せる工夫を学べる。
関連する章: 3
Language Models (Mostly) Know What They Know
言語モデルが自分の答えの正しさをどの程度見積もれるかを調べた研究。AIが「わからない」と言えるかを考える材料になる。
QLoRA: Efficient Finetuning of Quantized LLMs
量子化したモデルを一枚のGPUで追加学習する方法。現地の知識でAIを調整し直す場面を考えるのに役立つ。
LLMがもっともらしい誤りを出す「幻覚」の原因・分類・対策を整理したサーベイ。命に関わる助言をするAIの限界を理解するのに必須。
Learning Fine-Grained Bimanual Manipulation with Low-Cost Hardware
安価な2本腕ロボットと、人の操作を真似て学ぶ手法(ACT)を示した論文。少ないお手本で細かい作業を覚えさせる考え方がわかる。
関連する章: 13
Web資料
I, Pencil: My Family Tree as Told to Leonard E. Read
鉛筆一本を一人で作れる人はいない、と語る短いエッセイ。専門分化と分散した知識の大切さを一気に理解できる。
約5500万人に影響した北米大停電の経過と原因を、出典付きでまとめている。警報ソフトの不具合や樹木との接触といった小さな要因が連鎖する様子がわかる。
適正技術や持続可能な暮らしの技術を集めたオープンなウィキ。オフラインのAIに載せる知識源の候補にもなる。
文明を再起動するのに必要な本を選ぶLong Now財団の構想を紹介した2010年の記事(選書プロジェクト自体は2014年に始動)。オフラインAIに何を載せるかを考える直接の手がかり。
SODIS: Solar Water Disinfection – How does it work
ペットボトルを日光に6時間以上さらす太陽光消毒法の手順を説明している。燃料がなくてもできる飲料水処理として覚えておきたい。
Global Village Construction Set
小さな文明を作るのに必要な50種類の機械を、オープンソースで設計しようとする計画。技術ツリーを具体的な機械の一覧として見られる。
Boil water (Technical brief WHO/FWC/WSH/15.02)
沸騰するまで加熱すれば病原体を不活化できる根拠を短くまとめたWHOの技術資料。AIが煮沸を勧めるときの根拠として引ける。
最大約295万戸の停電から、ほぼ全域への供給まで約45時間かかった経緯(北海道電力の復旧宣言は約64時間後)を政府資料として整理している。一つの発電所の停止がエリア全域のブラックアウトに広がる過程を学ぶ一次資料になる。
GitHub Archive Program: Arctic Code Vault
2020年2月2日時点の公開リポジトリを、スバールバル諸島の永久凍土にある保管庫へ保存した取り組み。ソフトウェアを千年単位で残す試みとして参考になる。
Postmortem Culture: Learning from Failure (Site Reliability Engineering, Chapter 15)
個人を責めないポストモーテムで障害から学ぶ方法を説明したGoogleの章。再挑戦の記録をどう残すかの実践的な型になる。
How to Build a Low-tech Website?
太陽光だけで動くウェブサーバーの設計記録。電力が限られたなかで情報サービスを続ける工夫を具体的に学べる。
ツール
Wikipediaなどをオフラインで閲覧できるソフトとZIM形式のアーカイブ。ネットがなくても知識を持ち歩ける土台になる。
Raspberry Piなどで作るオフライン図書館サーバー。地域に知識を配る仕組みとして、本書のロードマップのモデルになる。
ローカルLLMを簡単なコマンドで取得して実行できるツール。オフライン環境でAIを試す最初の一歩に向いている。
C/C++で書かれたLLM推論エンジンで、量子化したモデルをCPUや小型機で動かせる。オフラインAIを実際に組むときの中心的な道具。
低価格なロボットで模倣学習などを試せる、Hugging Faceのオープンソース・ロボット学習ライブラリ。手の届くロボットAIの現在地がわかる。