
第13部 付録第25章
学習順ガイド
全30章を頭から読む必要はありません。あなたの目的に合わせて、最短の読み順を5つのコースにまとめました。
このページの内容(9項目)
全30章、合計およそ7時間。どこから読む?
教科書は頭から順に読むもの……とは限りません。旅行のガイドブックと同じで、行きたい場所が決まっていれば、そのページだけ開けば十分です。この章は「目的地別の路線図」です。
まずは自分のタイプを選ぶ
flowchart TD S["何をしたい?"] --> A["話についていきたい"] S --> B["手元で動かしたい"] S --> C["AIアプリを作りたい"] S --> D["モデルを鍛えたい"] S --> E["速く安く動かしたい"] A --> A1["コース1"] B --> B1["コース2"] C --> C1["コース3"] D --> D1["コース4"] E --> E1["コース5"]
迷ったら
どのコースでも、最初の1章は第1章「LLM周辺の世界地図」がおすすめです。用語を置く「6つの層」を先に知っておくと、どの章から読んでも迷子になりにくくなります。
コース1:1時間で会話についていく
会議やニュースで出てくる言葉の「だいたいの意味」と「何の仲間か」が分かればOK、という人向け。
- 第1章 LLM周辺の世界地図 — 6つの層で全体を俯瞰
- 第22章 最低限これだけ覚えればよい用語30選 — 頻出語をざっと確認
- 第21章 よく混同される用語まとめ — 「どっちがどっち」をクイズで
- 気になった言葉は用語集で検索
コース2:自分のPCでLLMを動かす
「とりあえず手元で動かしてみたい」「どのモデルなら自分のPCに載るか知りたい」人向け。
- 第23章 ローカルLLMを触る最短ルート — まず動かす
- 第2章 モデル・重み・トークナイザ — 何をダウンロードしたのか
- 第4章 モデルファイル形式 → 第5章 GGUF — ファイル名の読み方
- 第10章 量子化 — Q4_K_M などの意味と、メモリの見積もり
- 第8章 Ollama / LM Studio など → 第7章 llama.cpp — ツールの選び方と中身
- 第17章 ハードウェア — 速さを決めるのは何か
コース3:AIアプリを作る
APIやオープンウェイトモデルを使って、社内検索やチャットボット、エージェントを作りたい人向け。
- 第1章 → 第2章 — トークンとコンテキストの感覚をつかむ
- 第19章 RAG / embedding / vector DB — 自分のデータで答えさせる
- 第20章 エージェント / ツール利用 / MCP — 外の世界とつなぐ
- 第27章 推論モデル — 「考える」モデルをいつ使うか
- 第28章 AIコーディングエージェント — 開発そのものにAIを使う
- 第30章 評価とベンチマーク — 「よくなった」をどう確かめるか
コース4:モデルを追加学習する
自社データや特定の口調・形式にモデルを合わせたい人向け。まず「本当に学習が必要か」から考えます。
- 第21章の「ファインチューニング vs RAG vs プロンプト」 — 学習しない選択肢を先に知る
- 第12章 事前学習・継続事前学習・SFT — 学習の種類
- 第13章 LoRA / QLoRA / Adapter — 少ない資源で微調整
- 第14章 学習ツール群 — 実際に使う道具
- 第27章 推論モデル — 強化学習で「考える力」を伸ばす話
- 第30章 評価とベンチマーク — 学習の成果を測る
コース5:速く・安く・たくさん動かす
サーバーでLLMを提供する、推論コストを下げたい、という人向け。
- 第6章 推論ランタイムとは何か → 第9章 サーバー向け推論基盤
- 第15章 KVキャッシュ / バッチ / PagedAttention — メモリと速度の基本
- 第16章 投機的デコーディング — 1回で何トークンも進める工夫
- 第10章 量子化 → 第11章 1-bit 系 — 軽くして速くする
- 第26章 MoE — 総パラメータとアクティブパラメータ
- 第17章 → 第18章 — ハードウェアと実行バックエンド
セルフチェック:どこまで分かった?
次の質問に、自分の言葉で30秒ずつ答えられるか試してみてください。詰まったら、横に書いた章へ戻ればOKです。
セルフチェック
1. 学習と推論の違いは?(→ 第1章)
学習は大量のデータで重みを調整して「モデルを作る」こと。推論はできあがった重みを使って出力を計算すること。推論の最中に重みは変わりません。
2. 「8B・Q4_K_M・GGUF」をそれぞれ説明できる?(→ 第5章・第10章)
8B はパラメータ数が約80億、Q4_K_M は llama.cpp 系の量子化の種類(1重みあたり約5ビット弱)、GGUF はそれらを1つにまとめたファイル形式です。
3. 長い文章を入れるとメモリが増えるのはなぜ?(→ 第15章)
過去のトークンの計算結果(KとV)を KV キャッシュとして保存しておくからです。文脈が長いほど、同時に処理するリクエストが多いほど増えます。
4. RAG とファインチューニング、社内文書で答えさせるならまずどっち?(→ 第19章・第21章)
多くの場合はまず RAG です。文書を検索して入力に添える方式なので、文書の更新にすぐ追従でき、出典も示せます。口調や出力形式を変えたいときはファインチューニングが向きます。
5. MCP は何を標準化したもの?(→ 第20章)
AIアプリと外部のツールやデータ源をつなぐ「接続の仕方」です。ツールごとに個別の連携を作らなくても、MCP に対応したサーバーを差し込めば使えるようになります。
この章のまとめ
- 全章を順番に読む必要はない。目的に合うコースを1本選ぶ
- 迷ったら第1章で「6つの層」の地図を手に入れてから
- セルフチェックで詰まった問いの章に戻るのが、いちばん効率のよい復習
さらに深く学ぶ
この章の内容をもう一歩掘り下げるための原典です。
出典・参考
この章は本書の読み方ガイドのため、外部の出典はありません。各トピックの出典は、それぞれの章末を参照してください。