静脈には逆流を防ぐ弁がある。 弁は二枚のポケット状の膜で、心臓へ向かう流れ(順流)の圧力がかかっているときだけ開き、 逆向きの圧力がかかった瞬間に閉じて血管をふさぐ。ポンプが働いていない間は弁は閉じたままで、血液は動かない。
下肢の静脈血は筋の圧迫で押し戻される(筋ポンプ)。 足の静脈血は重力に逆らって心臓へ戻らなければならないが、 静脈の血圧は低く、心臓の力だけでは足の血液は十分に戻れない。ふくらはぎの筋肉が収縮すると静脈が押しつぶされ、 中の血液は心臓側へ送り出される(下の弁は閉じるので足側へは逃げない)。筋肉が弛緩すると血管は再び膨らみ、 上から戻ろうとする血液は弁で止められ、足側から新しい血液が流れ込む。歩いたりつま先立ちをしたりするたびにこのポンプが働く。
弁が壊れると(弁不全) 弛緩のたびに血液が逆流し、足側にたまって静脈が太く膨らむ(うっ血)。 これが続くと静脈瘤などの原因になる。スライダー「弁の不全度」を上げて確かめよう。
色について: 血液は酸素が少なくても暗い赤色(暗赤色)で、青くはない。教科書の図で静脈を青く描くのは、 動脈(赤)と区別するための模式上の慣例である。この教材では血液を暗赤色で描き、血管の壁の輪郭だけを慣例にならって 青系で描いている。たまって流れが悪くなった血液は、やや褐色がかった暗赤色で示している。