膜の上面(空気→膜)と下面(膜→ガラス)で反射した2つの光が、往復の光路差 2n1d と反射時の位相の跳び(低屈折率側から高屈折率側へ当たると π ずれる)によって干渉します。式 r=(r01+r12e2iδ)/(1+r01r12e2iδ) では r01, r12 の符号がこの π の跳びを自動的に表します。
n0<n1<n2 なら両面とも π 反転するので打ち消し合い、光学膜厚 n1d=λ/4 で反射が最小。完全に 0 になる理想屈折率は n1=√(n0·n2)=√1.52≈1.23 ですが、これほど低屈折率で丈夫な蒸着材料はほとんどありません。
MgF2(n=1.38)はそれに最も近く、可視域で吸収がほぼなく、硬くて耐候性があり、真空蒸着しやすいので単層ARの定番です。λ/4(d≈100nm)で緑の反射は約1.3%(素ガラス約4.3%)まで下がり、両端の青と赤が少し残るのでレンズの反射は紫〜マゼンタに見えます。
n1>n2(例 2.0)では下面で反転が起きず、λ/4 では逆に強め合って反射が最大になります。極小は n1d=λ/2(d が約2倍)ですが、そのときの R は素ガラスと同じで、反射防止にはなりません。
前提:垂直入射・無吸収・膜とガラスの屈折率は波長によらず一定・ガラス裏面の反射は無視。反射色は D65 近似光源(6504K 黒体)×R(λ)×CIE等色関数(解析近似)で計算。